【カエル党通信】009号~「その時」の予感。
2011年9月30日発行
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~前頭側頭型認知症でアスペルガーな母のことをもっと知りたい~
カエル党通信
───────────────────────────── 第9号 ----
ご無沙汰しております、発行人の やまもとはるみ です。
みなさまに忘れ去られそうな発行頻度で恐縮しつつも、臆せず送信いたします。
東日本大震災の傷跡からまだ立ち上がれずにいる日本に、さらにこの秋は台風
も襲いかかりました。
和歌山の新宮に住む仲良しの従妹は、「東北の人たちを思ったら自分たちは文
句やワガママを言えない」と言っていましたが、その声はやはり辛そうでした。
彼女自身、友人家族を失い、生後8ヶ月の赤ちゃんを抱えて、心の揺れる日々
だと思います。
相手の苦しみや大変さを思いやる一方で、その引き換えに、自分自身の心や体
を蔑ろにしていないか気を配ることも大切なのかな、と最近感じています。
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■初めての食事介助
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前頭側頭型認知症と診断され、要介護度4で母がグループホームに入居してか
ら、2年10ヶ月が経ちました。
初めて介護認定を受けてから、間もなく3年。昨日、2年ぶりとなる要介護認
定の調査と申請の書類が家に届きました。
最近の私は、月に1回のペースで母の様子を見に行っています。頻度としては
少ないと思います。正直なところ、ちょっと後ろめたいです。
以前は強かった、母のところへ行く心理的な抵抗はなくなったのですが、
意志の疎通ができない母の側に座っていても、話すこともするこもなく
スタッフが気を使って話しかけてくれる状況が、どこか気詰まりなこと。
そして、同行する娘のことを、母が相変わらず激しく叩こうとしてしまう
こと。さらには、私の仕事が忙しくなったこと。
こうして書いてて自分でも言い訳がましいと思いますが、月1回がやっと、と
いう状態が、この半年ほど続いていました。
そして先週末、1ヶ月ぶりに母のホームに行ってきました。
結論から言うと、これからはもう少しマメにホームに通おうと思っています。
理由は、恐らくお察しのとおり、母の病状が進んだためです。
前回号で、散髪し、入浴し、ベッドで寝るようになり、感情の起伏も少なくな
って母が扱いやすくなった、とご報告しました。そしてそれは、病状が進んだ
現れであろう、と。
そんな状態から、さらに一段、母の病状は進行したようです。
だんだん、1人で歩くことが困難になってきました。
排泄は、数カ月前から自立はできなくなっています。
頑なに拒否していた、内科医の診察に成功しました。
お風呂はなんと、1日おきに入っています。(若い頃より頻繁)
そして。
食べることへの意欲が低下しています。
機能として、箸やスプーンを使って自分で食事をすることはできるのですが、
食事全部を自分で食べきることが、困難になってきています。
認知症の症状が顕著になり、食に執着していた母は、施設入居後も食べること
への意欲と集中力は衰えていませんでした。
しかしながら、最近は食事の途中で食べることをやめてしまい、ヘルパーさん
が促しつつ、時に口元に運んでやって食べ終わる、という状態です。
私は昼ご飯の様子を見ていたのですが、やはり8割方食べたところで母の手は
止まってしまい、箸を置いてぼんやりしてしまいました。ヘルパーさんが母に
声をかけてくれていたのですが、他の方のお世話で席を立ち、テーブルには母
と私と娘。
いつまでもお膳が片付かないのが何だか申し訳ない気持ちもあって、試しに、
母の口元に残りのご飯を箸で運んでみると、母は何の抵抗もなく口に入れて
昼食を完食しました。
初めて母の介護らしいことをしてるな、と考える一方で、そんな母の病状の変
化に、またも戸惑いを覚えて帰ってきました。
その日は、担当のヘルパーさんともたくさんお話をしました。その方も、母の
最近の変化と先行きに落胆や一抹の不安があったのかもしれません。
前頭側頭型の予後については施設でも前例がないとのことで、互いに手探りし
つつ看ていきましょう、と話はしていたのですが「いよいよその時がきたか」
と感じています。
入居から3年間。私は、母と精神的にも距離を置き、自分の生い立ちを見つめ
家族との生活を立て直す時間を得ました。長い休暇をもらっていた「娘業」に
そろそろ戻る時のようです。
発病からを思えば、かなりの年月が経っています。この先、どの位のスピード
で変化していくのか。もしかしたら、意外とゆっくりなのかもしれません。
父の最期の時と同じく、母の最後の時間を、娘として、しっかりと見届けてい
くつもりです。
今後も不定期な発行になりそうですが、よろしければ、みなさまにも伴走して
いただけると心強いです。
■編集後記
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母の担当のヘルパーさんが、何と、このメルマガと私のブログを読んでいた!
先日、帰り際に言われてびっくりしました。
母の事例を研究発表してくださるそうで、前頭側頭型認知症、でwebを検索して
いたら、比較的上位に登場したんだそうです。
わー、びっくり。
お役にて立てるかどうか考えると臆病になってしまいます。まずは記録を残す
ことを意識して、次号も発信させていただくつもりでおります。
お付き合いいただきありがとうございました。
また次回、お会いできることを楽しみにしております。
(やまもと はるみ)
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