2011年3月31日発行 ☆★☆──────────────────────────────── ~前頭側頭型認知症でアスペルガーな母のことをもっと知りたい~ カエル党通信 ───────────────────────────── 第8号 ---- ご無沙汰しております、発行人の やまもとはるみ です。 前回の発行が昨年7月。そして気がつけば、今年度最終日。気持を新たに4月 を迎えたいと思い、久々に発行いたします。 さて、先日の東日本大震災、みなさまの生活にも少なからぬ影響がおありのこ とと思います。お身内やご友人が、そしてご自身が、被害に遭われた方もおら れるかもしれません。 私は、大学卒業まで東北に住んでいました。変わり果てた懐かしい街の姿に、 胸が張り裂けそうな思いです。 東北地方の復興には、かなりの時間がかかることでしょう。しかしながら、粘 り強く強い心を持つ東北の人たちは、静かにそして着実に、回復していくもの と信じています。 被災していない私ですら、悲しみや不安に振り回されそうになります。東北の 人の強さを信じ、自分の中の東北の血を信じて、復興を息長く見守り、応援し ていきたいと思っています。 ___________________________________ ■最近の母のこと。そして、私の課題。 ___________________________________ <最近の母> 前頭側頭型認知症と診断され、要介護度4で母がグループホームに入居してか ら、2年4ヶ月が経ちました。 入居直後は、家にいた時と同様、感情の起伏が激しく、暴言や暴れたりするこ ともしばしば。意思の疎通もほとんどできず、入浴や受診、着替への拒否が強 かった母。家にいた頃から布団やベッドで寝ることをせず、入居後もソファで 寝ていた母。 入居からまる2年が経過した昨年秋頃から、状態に少しずつ変化が現れました。 訪問の美容師さんに数年ぶりに髪を切ってもらい、お風呂も2,3日おきに入 るように。そして年明けからは、ベッドで寝るようになり、さらには、他の入 居者と同じテーブルで食事を摂るようになったのです。 そして、以前に比べてて感情が昂ぶる回数が減り、スタッフが格段に介護しや すくなったとのこと。 母自身がこの自分の変化をどう感じているかはわからないのですが、私はよか ったと思っています。ホームのスタッフが母と関わりやすくなったと感じてく れるのは、母にとってもいいことでしょうし、何より、勝手な話ですが、私の 気持が楽だから。 さて、ここまでお読みいただきてお気づきの方も多いと思いますが、これらの 母の変化は、母の病状が進んだことを意味しているようです。 今の母の表情は穏やかともいえますが、以前に比べて変化に乏しくなりました。 私の存在も認識していないようですし、名前はもちろん出てきません。 もともと人と気持を通わせることが難しい母でしたが、今は意志や感情を人と 通わせることは、ほとんどなくなってしまいました。 認知症である以上、いずれこういう時がくることを頭ではわかっていましたが 正直なところ、やはりショックでした。介護職である夫も同様だったようで、 仕事でお客様に接するのと身内の病気の進行を目の当たりにしるのとは違うと 言っています。 若年性認知症として、発症からの年数を踏まえると、これまでの母の病気の進 行はゆっくりだったのでしょう。そしてここにきて、グンと一気に進んだよう に感じます。 病気の進行を受け入れる。親の老いを受け入れる。 なかなか難しいです。今の私にできることは、母の変化を「受け入れるのが難 しいこと」として心の中にそのままの形で置いておくことかもしれません。 こうして、さんざん手を焼いてきた母の「前頭側頭型認知症」の症状の一部は 鳴りを潜めているように見えます。この先、母にどのような変化が訪れるのか。 不安もありますが、夫やホームのスタッフとともに、見つめていきたいです。 <私の課題> 半年以上メルマガを発行できずにいたのは、理由がありました。母の「アスペ ルガー症候群」らしき状態と、その母のもとで育った私のこと、さらに前頭側 頭型認知症になっていった経過を、客観的に記録としてまとめたいと当初考え ていて、今もその気持は同じです。 しかし、子どもの頃の母との関わりや母の行動を書くことが、アスペルガー症 候群(などの発達障がい)の人が子育てをしたり家族を持つことを否定するよ うなニュアンスになったらどうしよう、という危惧があるのです。 これはもちろん、私自身の気持の整理とか表現力の問題ではあるのですが、な かなか筆が進みませんでした。今もまだ、言葉を探している途中です。もう少 し時間をかけて、楽しくサラリと書けるようになったら、この場でご報告いた します。 ___________________________________ ■編集後記 ___________________________________ 久々のメルマガ、お付き合いいただきありがとうございました。 今後は月1回程度のペースでお送りしていく予定です。 タイトルについている「アスペルガー」の要素は今しばらく棚上げになりそう なので、次回からは、母が前頭側頭型認知症と診断されホームに入るまでの前 後のことや、その頃の私たち家族のことをお話する予定です。 では、また次回、お会いできることを楽しみにしております。 (やまもと はるみ) メールマガジン「カエル党通信~認知症でアスペルガーな母のこと~」 ☆発行責任者:やまもと はるみ ☆公式サイト:http://kanael.typepad.jp/blog/ ☆問い合わせ:このままご返信ください ☆登録・解除:http://archive.mag2.com/0001108225/index.html ___________________________________